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「自然の中に心を遊ばせて」 : 第二章 : 夏の森

「そんな訳で、僕の昼ご飯は「シエスタ」へと延長する。ちょっと食べてはちょっとノートに書き込みをし、ちょっとウトウトする。最終的には全てお腹に収まり、ペンは傍に転がる。木の梢をサラサラ揺するそよ風の音にくつろいだ僕はこっくりこっくり。音は海岸に打ち寄せる波と区別がつかないほどで、風も波になってそよぐかのようだ。規則正しくゆったりとした間隔で、尾根から谷底に向かってサ〜と寄せる。」

「またもや、少なくとも二時間は眠ってしまう。こんなことばかり書いていると、よほどの怠け者だと思われるだろう。でもどうか思い出して欲しい、このキャンプは僕のバケーションのようなものだということを。家にいるときはいつも「仕事中」で、とても勤勉に働いている。少なくとも木版画作品とニュースレターとエッセイは、規則的に作り出している。 テントから体を出すと、一日の最も暑い時間が過ぎて空気が心地よく感じられる。森の床となるこの場所でもそよ風がはっきり感知できる。周りにはそれほどたくさんの蚊はいず、木の葉をすり抜けた太陽光が何本もの筋となって急角度で照らし、地面のあちこちに斑点を作っている。この斜面のすぐ下にポツンと生えている大きなキノコが、一筋の光に照らされてとてもきれいに見えるが、これは束の間の命。太陽が動くとスポットライトは消えてしまう。」