デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」の一冊の内容です。
ここに、バックナンバーがすべて集めてありますので、号数あるいはテーマ別分類から、選んでお読みください。
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このニュースレターは、いつも私の版画制作に関連する内容が記事となるのですが、デービッドが一面から押しのけられることがあります。読んでいただくと、今回がそのよい例になっていることがお分かりになるでしょう。
ここ数年、二人の娘たちは、どちらの方が私に大ニュースを提供できるか張り合うかのようでした。長女の日実は、結婚後に続けてふたりの子供を出産したので、圧倒的な優位を保っていました。
でも富実の方も負けてはいません。目立たないところで着々と活動を続け、今年の春には、四角い帽子をかぶり黒のガウン姿でその結晶を披露してくれました。そう、ブリティッシュコロンビア大学の経営学部を卒業したのです。
ブル家で初めて、経営に関する専門知識を身に付けた人材が出ました。(彼女に僕の経営コンサルタントを頼む費用は捻出できそうもありませんが!)
家族に関しての主なニュースは、すでにトップページでご紹介済みなので、ここではその他のことについてお知らせしましょう。
今年は、富美の卒業式があったために、家族の集合は通常より随分と早い5月半ばになりました。例によって、私は東京から、弟は地球の反対にあるドイツからバンクーバーに飛んだのです。
最大のイベントは当然卒業式でしたが、私たちの注目を一手に集めたのは、生まれたばかりのアンドレーでした。あいにく僕が彼を抱いている写真がありません。曾おばあちゃんと曾おじいちゃんが僕にチャンスをくれなかったのです!アンドレーは、お兄ちゃんのアレクサンドルの誕生から18か月後に生まれました。ですから日実は、それこそ、いつも両手がふさがった状態です。ここ数年はこの忙しい状態が続くことでしょうが、この役目に対するエネルギーは尽きることなく湧き出てくるようです。滞在中の一日を、彼女と孫たちと一緒に、公園で過ごすことができたのですが、遠く離れて暮らしているために、このような機会を頻繁に作れないのがとても残念です。
サイモン叔父さんは、日本でも大人気の新型ゲーム機のWiiを持ってきてくれました。彼は、私たちの父母がもっと運動するようにとの配慮で買ってくれたのですが、実際はふたりを近づけるどころか独り占めでした。滞在中、居間で「テニス」をしまくっていたので、かなり減量に成功したはずです。
サイモンは、新型ゲーム機で貢献しただけではなく、とても叔父さんらしい配慮も欠かしませんでした。裏庭で遊べる大きなシャボン玉を作る道具も持ってきてくれたのです。写真でお分かりのように、これは大成功でした。
この他は、海岸で遊んだり、散歩をしたり、美味しいレストランを探したり、座っておしゃべりに興じたりして、楽しく過ごしました。
それぞれが家に戻ってからは、再びパソコンのビデオ電話を使って頻繁に連絡を取り合っています。パソコンに向かう時には、いつも家族のリスト(左の写真)を見て、誰がパソコンの前にいるかを調べます。みんなが世界のまるで違う時間帯に住んでいるので、どんな時間であろうと、ほとんどいつも誰かが、インターネットに接続しています。
さあ、もうすぐ次の集合について計画しなくっちゃ!
上の写真は、4年前の2004年の夏号に掲載したもので、このように書きました。「今年の冬はずっと快適に過ごせそうです。東京に18年間住んで、やっと凍えずに座っていられる部屋を1つ持てることになるんです!」
とんでもない見込み違いでした!床と4面の壁は断熱済みでしたが、4年間が過ぎても、次の段階 ― 天井の断熱 ― が終わっていないとは!計6面のうちの5面だけが断熱されている状態なので、冬になれば来る日も来る日も、部屋は凍えるほどの寒さのままでした。では先の作業をするのに、何故それほど時間がかかっているのでしょう。
その理由のひとつは、もちろん、版画制作に時間が取られて遣繰りができないからですが、これだけが要因とは思えません。もっと根底にある理由は、私の行き過ぎた完璧主義です。この部屋は、これから先何年も使い続けるので、きちんと作りたかったために、次の工程のための一番いい方法を模索して、なかなか決断ができなかったのです。ああしようか、こうしようか、あるいは、この材料がいいか、あの材料がいいかと迷い続けて、遂には何もできなかったのです。
それでもやっと、作品をひとつ作り終えてカナダへ行くまで自由な時間ができた時に、この優柔不断にはもう言い訳ができないと判断して、やっと実行に移すことにしました。それが一番いい方法かどうかはさておいて、断熱材の入れ方を決め、必要な材料を買い足して作業を再開しました。旅行前の1週間に全部を終えることはできませんでしたが、やっかいな部分はやり終えて、残りは楽にできそうです。「とにかく継続」という気分を維持できさえすれば、この冬は暖かい部屋になることでしょう。
作業の継続を躊躇していた要因として、コンクリートの天井に枠材を固定するために、仰向けになってネジをドリルで打ち込む工程があったのです。幸い、近所に建築関連の仕事をしている人がいて、その人がコンクリートに使える、とても強力な接着剤のあることを教えてくれました。
この写真が現在の状態です。枠材はしっかりと所定の位置に接着されていて、試しに一か所だけ断熱材をはめ込んであります。あとは、残りの空間を埋めてから、その上を防湿布でぴったり覆い、最後に板を張ればよいのです。
さて、この「物語」の次がいつ完了するか、どなたか賭けてみますか?
前のページでは、いつまでも完成しない私の工房についてお伝えしました。でも、実際の仕事はきちんと進行しています。今年の春出版にこぎつけた2冊の本をご紹介しましょう。1冊は日本語、もう1冊は英語の本です。
英語の方は継続している「A Story A Week」の第5冊目で、今年前半に書いた26作の随筆を掲載しています。
日本語の方は、ここ10年ほどの間に、この「百人一緒」で書いてきた随筆の中から抜粋してまとめた「エキゾチックな新宿」という本です。
どちらも1冊900円で、インターネットからでも電話などによる直接注文でも購入することができます。
二人の小さな子供を抱えた日実は、家計の足しにと思っても外に出て働くことはできません。でも、この状況下でもできることを見つけたのです。自分でデザインした手作り商品を、インターネット上で販売しています。
いらなくなった着物や帯を手に入れて、小物入れやバッグなどを作っているのです。二人のチビちゃんが寝ている時間を使って、なかなか素敵な商品をどんどん制作し、今ではこのアジアンテイストのおしゃれ小物へのフアンが増えているようです。
ぜひ見てやってください。
長く生きていると面白い。世の中の変化をこの目で見ること、家族の成長を見守ることはもちろんだが、自分自身の価値観、世界観、人生観が移ろって行く様子が興味深いのだ。
私の趣味のひとつに庭仕事がある。などと言うとかっこいいのだが、正直に言えば、ちょっと広めの庭を持て余し、草むしりに追われる逃げの体勢から攻めに廻ってみただけのこと。植木屋さんに無理を言って、木を移動してもらったり花壇を作ってもらったりもしたが、ほとんどは自力で開墾してきた。時には古い土台が出てきたりするので、ツルハシは必須用具である。
枕木の通路やレンガ敷きのパティオはデービッドに作ってもらった。材料を日曜大工店から運ぶために、生まれて初めて軽トラックの運転も経験した。また、彼の作った雨水樽はピカイチで、一年を通じてほとんど水道代なしで庭を維持できる優れものである。読者には容易に想像できるだろうが、いい加減な仕事ができないといった欠点を持つ彼の仕事は、どれも正確。どの「作品」も問題なく良い状態を保っている。
開墾当初は、ガーデニングという言葉に浮かれて、日向の植物や日陰の植物と植え場を選び、珍しい品種を漁ったりもした。だが、なんだか場違いな場所に植えられたように虚弱な花を咲かせる種類には、やがて魅力を失い、強健な品種や在来種に心が引かれるようになってくる。そして昨年あたりから、野菜を作りたくなってきた。花より団子である!
となると、白羽の矢は南面を覆う芝生に向かったのだが、私に二の足を踏ませる要因があった。それは、デービッドである。彼が我が家に来ると、すぐサンダルを脱ぎ裸足で芝生の上を歩く。「日本の芝生は固いね」と言ったことはあっても、グリーングリーンと喜ぶ。そして、その「グリーン」を剥ぐ話をすると、一瞬にして顔が曇った。はて、はて、……
そこで私の背中を押したのが、続出する食品偽装ニュース、続いて石油高騰・物価高。もう子供の言うことを聞いている場合じゃないと判断し、芝生めくりを始めた。汗だくになりながらターフカッターに足を載せて地面に刃を食い込ませていると、あることを思い出してはっとした。母がちょうど私くらいの年齢の時にまったく同じことをしていたのだ。
「やあねえ、せっかくきれいな緑なのに。どろんこの畑にしちゃったの〜!」とは、私の言った台詞である!
左の写真は、今年の春にギャラリートークをしている時のものです。目に被さる前髪は明らかに伸び過ぎですが、他にもそんな部分があるでしょうか?
先日、役所から「特定検診」の案内状が送られてきました。最近頻繁に耳にする、メタボリックシンドロームの予防・改善を目的とした検診です。
早速近くの開業医に行き、看護婦さんがメジャーを私のお腹に回した時、「86センチ、メタボ要注意!」と言ったのです。ギョッとしました。僕が?
後で調べると、男性の場合は胴回りが85センチ以上だと、一律にこのグループに入るとか。随分大雑把な決め方ですね。
写真をご覧になって、いかが判断されますか?他の人たちと同じように、僕も、もうひとつベルトの穴を増やさなくてはいけないようですね……
あっ、聞こえてきました「デービッドさん、もっと食べなくっちゃ〜!」