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Part Four: 出来上がり

まだ紙の端を落としていませんが(まだ湿っています)、これは出来上がった作品のスナップです。なかなか良い出来だと思いませんか。オリジナルと比べると、色が鮮やかで硬い感じがしますが、これは時間の経過を待つしかありません。少なくても百年かそこらは....

自分の作品が老化して見えるように、茶色っぽくしたり叩いてドウサが落ちるようにしてみたらどうかと思ったことはありますが、やはり抵抗があります。そうしたら今の楽しみは増えるかも知れませんが、先行き何らかの難がでてくると思うからです。辛抱強く待った方がいいんです... きっと私の孫の方が、もっと良い状態で見られるのでしょう!


これは拡大写真です。白い雲の部分には力が加わっていませんが、濃い赤の部分は完全に平らになっていますから、バレンにかけた力がどれほど強いかわかると思いますが。時の経過と共に、この凹凸もいくらかは戻っていくと思いますが、浮き出しがまったくなくなるようなことはないはずです。


このような浮き出しは江戸時代の摺り物の特徴でもあります。たいてい、非常に厚い紙(私が今回用いたのよりももっと厚いんです)を使っていて、できあがった版画は立体的とも言えるほどです。ですから私は、インタビューされる時など、よくこんな冗談をいうんです。「私は版画家じゃなくて、彫刻家です」なんてね。


ここはかなり難しい、空摺のボカシです。背景となる薄い空の色を摺るときに力をかけすぎると、文字の部分の浮き出しがなくなってしまうからです。でも、力が弱すぎると雲が浮き出て来ませんから。


さあ、これが出来上がりです。全体の何箇所かの拡大を見ていただきたいので、スキャナーの精度を上げて取り込んでみました。(200Kb程です) ダウンロードにちょっと時間がかかりますが....

製作の過程を辛抱強く見ていただき、ありがとうございました。皆さんは、私の肩ごしに製作過程御覧になってきたわけです。私は、もうかれこれ20年もこの仕事を続けていますが、今でも作品を作っていくのが面白くてたまりません!

さあ、そろそろ新しい企画の「摺物アルバム」に取り掛からなくては。第一作目は「北斎漫画」からの作品です。

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