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「自然の中に心を遊ばせて」 : 第十二章 : 春の海

「このシリーズを始めたばかりの頃に、キャンプでの経験から得た教訓を思い出す。それは、動かずにじっとしてさえいれば物事が開始する、ということ。それで、池の中にポチャッと体を沈めて波を立てないように静かに座っている。一分としないうちに努力が報われる。どこからともなく視界に入ってきたのは、長さが三センチくらいしかない小魚。泳いでくると、底にある小石の隙間に口先を突っ込んでいる。彼は透明に澄んだ水の中で、僕がいることにまったく気付いていないかのように、僕の足の間を泳いだり、水中で静止したりしている。水の中に指を伸ばしたら何が起きるだろうかと、好奇心を抑えきれない。結果は予想通りで、魚はさっと消えてしまう。」