--- Go to the Front Page of the scroll series pages ---

October 10, 2006

このページにある8枚の写真は、摺るときに和紙をどのように扱ってゆくかを示したものです。

絵具を版木の上に刷毛で塗った後、保湿箱の上側を開きます。中には、見当の位置が手前になるよう、表を下にした和紙が入っています。

湿っている和紙を注意深く持ち上げます。

紙が反るように持ち、箱の中の和紙床から版木の上まで手前に移動します。想像できるかと思いますが、大きくて柔らかい紙が湿った状態ですから、思い通りに動かすことはとても難しいのです。はらりと、うっかり下に降りてしまうようなことがないよう、紙の端から端までしっかりと張った状態で移動します。

紙を見当の位置に合わせてゆきます。まず最初に、L字形の鍵見当に合わせ、それから、左手前にある引き付け見当に合わせます。位置が正確に決まったら、親指で紙を固定して紙全体を版木の上に降ろします。

紙が正しい位置に収まると、バレンを取り上げて摺ってゆきます。この写真で行っている摺は、すぐに終わってしまうので、保湿箱は開けたままですが、数秒以上かかる摺の場合は、バレンでこすっている間に中の紙が乾いてしまわないよう閉めておきます。

写真にある鎖の位置を見ると、この時に開けているのは下の方だということが分ります。紙を版木から引きはがして、結果を見るためにひっくり返します。きちんと摺れているか、見当が合っているかなどを確認するのです。

紙を箱に戻します。このときは、表が上になっています。

鎖をはずして箱を閉じたら、また最初から同じ工程を繰り返します。

積んであった紙を全部摺ってしまうと、保湿箱の下側に入っている紙を取り出して表が下になるようひっくり返して、次の色を摺るために上側に移します。