絵について
ここにある画像は肉筆のもので、手持ちの写真をスキャンしています(本物はヨーロッパの美術館にあります)。版画として制作するためには、これを拡大した絵を土台にして、筆でアウトラインをなぞってゆきます。これは、江戸時代とほぼ同じ手法です。
次に、これを版木になぞって彫り(地墨)、それから色分けを考え、たくさんの色版を彫ってゆくことになります。(一般の行程は、「摺物アルバム」に関して説明をしてあります。ここから御覧下さい)
これは大きな作品で、摺の回数も多くなるため、一回に摺る枚数は10枚から12枚と、かなり少なくする予定です。湿った状態の和紙一枚いちまいに、たくさんの色を一回に1色ずつ繰り返し摺ってゆくので、カビの心配があるためです。
長い摺の行程が終了すると、ごく薄い層からなる和紙の、一番後にある部分を引き剥がしてより薄い状態にします。それから、その完成品を掛軸として表装してもらいます。(この行程はプロに任せます)そうしてやっと、予約して(辛抱強く)一年間待っていてくださる方々の手元にお届けすることになります。