デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」の一冊の内容です。

ここに、バックナンバーがすべて集めてありますので、号数あるいはテーマ別分類から、選んでお読みください。

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'Hyakunin Issho'
Newsletter for fans of David Bull's printmaking activities
Autumn : 2011

前回に引き続き、「ニュースたっぷり」の内容です。最近は同時進行していることが多すぎて、報告するだけで紙面が一杯になってしまいます。

まずは左の写真。一目瞭然ですね。ついに重い腰を上げて、内装作業の再開です。詳しいことは中に書いてありますが、工房の断熱工事をせざるを得ない要因があったのです。(11月にこの作業をすることになったのは、まったくの偶然ですよ!)僕が引退するまでに内装が完了するかなど、まったく当てにならない状況ですよね!

とにかく出来事の多い、忙しい秋でした。順調に進行する企画があれば、停滞気味の企画もあり。前者に属する事柄が増えることをひたすら願う僕ですが、......。

購読ありがとうございます。皆様の応援に値する活躍を認めて頂けますように!

工房の内装......遂に再開

このニュースレターには、繰り返し登場する話題があります。あるテーマが継続している場合に、その最新情報をシリーズ形式でお伝えするためです。この記事が丁度それに当たりますが、今までの経過を忘れてしまった読者の方が、たくさんいらっしゃるかも知れませんね!

私たちの工房の内装経過をご報告する時期なのです。(前回は「私の工房」と書いたように記憶していますが!)

ここ数年は、まるで壊れたレコードみたいな繰り返しでした。「... 冬の到来までに、この部屋がしっかり断熱されればいいのですが」と。でも、「人生ままならず」という訳で内装はいつも後回しでした。

でも、今年は状況が違います。この場所を使うのは、もう私ひとりではないからです。自分だけならばいい加減にできることも、他の人が関わるとなれば話は別。という訳で、数日前に一念発起して必要な材料を注文しました。そしてある朝、助手を務める女性たちにこう宣言したのです。「今日は摺の仕事を中止。ここにある道具を使って、別の作業開始!」

對馬さんと石上さんは、建築に関わる作業をした経験がまるでないので、大工仕事は私がしました。(上の写真は、階段を取り付ける枠です。)でも、彼らにも出来る事はたくさんあります。下の写真では、私が作ったばかりの棚を對馬さんが塗装していますし、トップページにある写真では、剥き出しのコンクリートの梁に断熱材を固定する作業を石上さんが手伝っています。

工事道具を片付けて、再びバレンを手に作業をする前に、とにかく断熱材で表面を覆うところまで終えました。その夜、私は摺台の前で仕事をしたのですが、外気温が13度まで下がったにもかかわらず、室内温度は快適な20度を保っていました。真冬が到来して、外の気温がグンと下がったら、小さな電気温風器を使うつもりです。きっと工房内は心地よい暖かさを保つことでしょう。

残っている作業は? ご覧の通り、階段はまだ出来上がっていませんから、この開口部は少なくとも来春までは閉じておくことになるでしょう。(それまでは、外部階段を使い続けます。)次にしなくてはならない大工事は、通信関連のコードを全部きちんと処理する作業です。インターネット用のワイヤー、電話線、インターフォン回線、電線、オーディオ用の線。こういったコード類は、今も天井からぶら下がったままなので、分類してきちんと専用のパイプにまとめなくてはなりません。

断熱材は--しかるべき場所にあるので、そのままでも十分なのですが--剥き出しです。どんな壁材で覆うかを決定しなくては、注文もできませんね。

ま、そんな「細部」はともあれ、快適な作業空間はひとまず確保できた訳ですから、素晴らしい木版画を生み出す仕事に、一同復帰です!

千社札シリーズ…

みなさんは、こんな表現をご存知ですよね。「良い知らせがあるんだけど、悪い知らせもあるんだよ。」千社札シリーズの現状は、ちょうどこのような状態です。良い知らせの方は、次のひと組が完成して、ウェブショップで販売を開始したことです(価格は3,500円)。悪い方の知らせは、11月であるにもかかわらず、絵のデザインは夏ということです!

もう察しておられることでしょうが、この企画を軌道に乗せるためには、随分いろいろな問題がありました。外部で仕事をする人達と共同作業をするために、互いのスケジュールを調整するのは難しい、というのもそのひとつです。私自身は、日曜日の夜でも喜んで摺の作業をしますが、いろいろ事情があるのでしょう、他の人たちは違うのです! :-)

それでこのシリーズは、一時休止ということになります。きっと続行する日が来るはずですが(お約束します)、実現できるのは、もう少し私が思うように仕事を進められるようになってからです。

節電 ... 続く

恐縮だが、前回に続いて節電の話から始まる。

日本中が節電を迫られていた今年の夏、テレビを見ていて、ふとこんなことを思った。なぜ、「みなさん、テレビはできるだけ見ないようにしましょう」と言わないのかなと。当たり前とは百も承知だが、こまめに部屋の電灯を消す努力を奨励するのなら、せめて「大型テレビを一日中付けっぱなしにするようなことは止めましょう」くらいのことは言っても良かったのではないだろうか。

日本中がパニック状態にあった震災直後に、ラジオがいかに有効な情報を流してくれていたかを実感した人達が多かったと聞くが、この体験がテレビよりもラジオを利用する人を増やした、という情報は聞いていない。

私は一人暮らしをしているので、何となく部屋の中に人の声が欲しくて、無造作にテレビやラジオのスイッチを入れることが多い。恥ずかしながら、還暦を過ぎていることを忘れて体を動かし過ぎてしまうことが多く、どっと出た疲れを癒さなくてはならない時には、いつもテレビのお世話になる。座ってボンヤリと四角い画面を見ていれば、あっという間に1時間や2時間は過ぎてしまうからだ。

でも近頃、ちょっと考えている。これでもかこれでもかと、映像で視覚に迫ってくる四角い箱に頼りすぎると、私の想像力はどんどん退化してしまうのではないだろうかと。

あと数日で還暦を迎えるデービッドは、そもそもテレビを持たない。「四角い箱を覗いて時間をつぶすようなことはしたくない」そうだ。でも私は、誘惑の中に生きるスリルを好む。スイッチを押すのは指一本、でもそれをせずに本を読む。美味しいお酒があっても「今夜は飲まない」という勇気。

もちろん、いつも誘惑に勝っているなんてカッコいい事は言いません。たいていは、負けちゃっています。でも、誘惑に勝ったときは、何とも言えない優越感にひたれますよ〜〜!

家族との時間...

春号で家族大集合についてご紹介した時には、一人欠けていました。弟が行けなかったのです。でも10月の始めに集合した時には、彼も参加できました。弟は現在、タイに住まいを構えてドイツで働く、という2重生活をしているので、かろうじてひねり出した1週間です。私もやり繰りして合流しました!

あまり写真は撮れませんでした。(2人の孫の写真さえも、ありません!)少ないスナップの中から2枚をご紹介します。2人の姪と並ぶと、サイモンは背が高いんですねえ。初めて気付きました!

次女の富実とパートナーのクレイグが、私たちのために準備してくれたディナーです。富実の隣にいるのは、日実の夫のイオアンです。こっちも大男ですねえ!

と言う訳で、忙しい中をやり繰りして、今年は2回もカナダに行ってしまいました。(ここしばらく続いている円高の恩恵を被っているのも一因でして......。)