デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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節電 ... 続く

恐縮だが、前回に続いて節電の話から始まる。

日本中が節電を迫られていた今年の夏、テレビを見ていて、ふとこんなことを思った。なぜ、「みなさん、テレビはできるだけ見ないようにしましょう」と言わないのかなと。当たり前とは百も承知だが、こまめに部屋の電灯を消す努力を奨励するのなら、せめて「大型テレビを一日中付けっぱなしにするようなことは止めましょう」くらいのことは言っても良かったのではないだろうか。

日本中がパニック状態にあった震災直後に、ラジオがいかに有効な情報を流してくれていたかを実感した人達が多かったと聞くが、この体験がテレビよりもラジオを利用する人を増やした、という情報は聞いていない。

私は一人暮らしをしているので、何となく部屋の中に人の声が欲しくて、無造作にテレビやラジオのスイッチを入れることが多い。恥ずかしながら、還暦を過ぎていることを忘れて体を動かし過ぎてしまうことが多く、どっと出た疲れを癒さなくてはならない時には、いつもテレビのお世話になる。座ってボンヤリと四角い画面を見ていれば、あっという間に1時間や2時間は過ぎてしまうからだ。

でも近頃、ちょっと考えている。これでもかこれでもかと、映像で視覚に迫ってくる四角い箱に頼りすぎると、私の想像力はどんどん退化してしまうのではないだろうかと。

あと数日で還暦を迎えるデービッドは、そもそもテレビを持たない。「四角い箱を覗いて時間をつぶすようなことはしたくない」そうだ。でも私は、誘惑の中に生きるスリルを好む。スイッチを押すのは指一本、でもそれをせずに本を読む。美味しいお酒があっても「今夜は飲まない」という勇気。

もちろん、いつも誘惑に勝っているなんてカッコいい事は言いません。たいていは、負けちゃっています。でも、誘惑に勝ったときは、何とも言えない優越感にひたれますよ〜〜!

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