浮世絵美人
この作品集の制作が終わりに近づいている今、日本の伝統木版画の中で一番大切な(そして人気のある)種類を忘れていることに気付きました。そう、美人画です。調整は簡単、いかがですか?
デービッド
浮世絵美人
この作品集の制作が終わりに近づいている今、日本の伝統木版画の中で一番大切な(そして人気のある)種類を忘れていることに気付きました。そう、美人画です。調整は簡単、いかがですか?
美の謎シリーズは小さいサイズなので、大判の作品全体を縮小するのは実際的ではありません。それで、原画の一部を切り取って採用しました。「花模様」という題の、3枚で1つの絵になる版画が10組ある作品集から選びました。絵師は、今日知る人の少ない小林清親で、彼の晩年である1896年の作です。
「花模様」は、とにかく素晴らしい作品集なので、どれを選んだものか、決めるのに困るほどでした。この作品を選んだのは、「八重毛」という技法が使われていることに気付いたからです。普通は1本1本の髪の毛が真っすぐに並んでいるのですが、この場合は、数本ずつが曲線を描きながら集まるように流れているのです。今まで、この技法を試す機会がなかったことと、自身の視力が弱る一方なので、この先長くは複雑な技法に取り組めないので、チャンスと考えたからです。長い間保存しておいたツゲの版画木を使って、とても上手にできたように思えます!
このような機会に恵まれている私は、「幸運」だと思っています。他の彫師たちは、このように「自分を試す」機会がほとんどないからです。版元の選択に従って彫り進めるだけの彼らが、このように複雑な作品を版元に選んでもらうことは、経済効果を考えれば無理なのです。でも私の場合は、そのような制限なし(ありがたいことに!)ですから、心行くまで「遊び」ができるのです。
さあ、この集の完成まであと3作、皆様を楽しませる機会も残すは3回となりました。では、また来月!
平成23年8月
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