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The 1999 Album

「摺物アルバム」をいつまでもお楽しみ頂くために。

私の版画を集められる皆様、ありがとうございます。私自身、製作を無上の喜びとして参りましたが、皆様にも私の作品を存分にお楽しみ頂くために、いくつか気をつけて頂きたい事項があります。どうか次の事頃に目を通して下さいますようお願い申し上げます。

版画の見方

もちろん、天井からの明かりでも十分お楽しみ頂けるのですが、水平に差し込む光の下ですと、美しさがより際立ってまいります。低めのテーブルの上に版画を置いてください。それから、部屋の明かりを消し、できれば障子から差し込む柔らかな光だけで版画を御覧ください。バレンの力で浮き出た紙の起伏がくっきりと現れて、決して平面的な絵ではないことが分かります。きれいですよ、ぜひお試しください!

版画の保存

版画の表面にはできるだけ触れないようにしてください。手の油が、染みや汚れの原因となります。取り扱いに気をつけて傷みを最小限することで、作品を楽しみながらも、かなり長期に渡って版画の美しさを保つことができます。また、版画は中性紙に包装してありますので、挟んだままで保存されてかまいません。でも、年に一度、できれば秋か冬に、風を通して湿気を取り除かれる事をお勧めします。

私の作品の御予約、ここに重ねて御礼申し上げます。お送りする作品は、皆様のお手元で、きっと楽しんで頂ける事と自信を持っております。

  • このアルバムの全ての版画は、福井県大滝村の岩野市兵衛氏による越前奉書和紙を用いております。
  • エッセイは、石崎貞子さんが私と読み合わせをしながら丁寧に翻訳をしました。
  • 版画を挟む用紙は、一つひとつが奥多摩町の市川仁美さんの手作りです。
  • アルバムの帙と外箱は、株式会社江雅堂の戸田正孝氏と奥様の手作りです。
  • 題字の書は、立川市の久保田浩子さんにお願いしました。
  • 資料提供への御礼:東洋文庫(2作目)とヴィクトリア&アルバート博物館(9作目)からは、所蔵の版画を復刻する許可を得、また富士吉田市在住の槇田榮氏には5作目の下絵資料の御協力を頂きました。

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