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「自然の中に心を遊ばせて」 : 第七章 : 冬の川

僕のキャンプ場所は、数ヶ月前に来た時と変わっていない。遠くから見ると、この浅瀬はかなり穏やかで、ガラガラと小石の上を転がる音を立てている。だが近くに寄ってすぐ縁に立つと、岩と流れが荒々しくぶつかる様子が見て取れる。数メートル先の流れの中にはふたつの岩があって、ひとつは水面上に出ているのだが、もう一方は水面のすぐ下にあり、その上を透明で澄んだ水が淀みなく流れている。その二つの岩の間を、水は勢い良く落ちて泡の滝を成している。

水はきれいに澄んだ緑なので、もの凄く心が惹かれて飛び込みたくなるほどだが、とてもじゃないが水泳は無理だろうと、今回のメニューから外ずしてある。数分くらいなら冷たい水の中に浸かっていられるだろうが、一旦水から上がったら、凍てつくような風が当たって体が引きちぎられる思いだろう。いずれにしろ、今日は出発前に近くのスポーツクラブでひと泳ぎしてきたのだから、ここでは参加者ではなく観客になるとしよう!