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May 4, 2006

版下画きが完了すると、次はその複製作りです。この段階ではまだ、最終的に何枚の版木が必要となるのかはっきりしませんが、使う版木の中核となる基本グループを決めることはできます。それで私は、トレースした画像をCDに焼いて、それを都心の印刷所に持って行き、光沢紙に実際の大きさ(A2)で印刷してもらいました。その後、自分が用意した特別な紙に、出来上がった画像を20枚複写しました。


用意した紙は、2層になっています。厚手の紙の上に、非常に薄くて軽い雁皮を貼付けたものです。版下紙は、版木に貼付けた裏側からはっきりと見えなくては彫れませんが、それほど薄い紙はコピー機を通すことができないのです。でもこのように2枚重ねれば、薄い紙にも簡単に印刷ができます。


家に戻ると、コピーした紙の見当となる部分を丁寧に切り取り、そこを丈夫にするためマニキュアをちょっとだけ付けました。


次の作業は長い色分けの行程で、どの部分を彫りどの部分を残すかを決めます。私は、ここ数ヶ月の間、このことについて折に触れて考えてきました。トレースをしているときには特に考える事が多く、その御陰で、基本的な色分けはほぼ完璧に決まっています。着物の地となる赤のように、すぐに決まる部分もありますが、はっきり決定しきれないところもたくさんあります。原画で不透明な絵具を使ってあるところなどは、下にある線が隠されてしまっているからです。



ここにある写真は、色分けした中の2枚です。マーカーで色を付けた部分は、彫り残すところです。この段階では、色分けに関して間違えをおかし易いので、すべてについて2度確認をします。ここで見落としたところは、摺が始まって初めて気付くことになるでしょうから、そうなると、たくさんの版木を彫り直すことになります。ですから、この段階で問題点を見つけておく方が、はるかに楽なのです!

次の写真は、色分けの第一グループです。完成までには、もっとたくさんの色分けをしなくてはならないのですが、後から必要となるもっと複雑な部分はさておき、とりあえず彫り始めてみることにします。基本となる版ができて試し摺りをすれば、未解決な部分を整理することができ、必要と思われる版を準備することができるでしょうから。