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March 10, 2006

帯の破損している部分の修復作業は、この用具の使い方にかなり慣れてから始めました。他の所に点々と残された模様をじっくり観察して、慎重に補足していきました。

欠けている部分の修復がすべて終わると、版下作りです。版画を作るために必要な何枚もの版木を彫るためには、原画にあるどのような細部も画き入れなくてはなりません。 ここに例があります。ほんの小さな部分ですが、上からなぞる前の状態 ...


... そして上からなぞった結果です。

その写真を見ると、明るい部分も暗い部分も、すべて同じ黒で塗りつぶされているので、ちょっと困惑なさるかもしれません。でも、版下というのは、完成した状態を示すものではなく、模様などがどの位置に来るかをはっきりと示すためのものなのです。ですから、下の方にある太い線はそのまま墨の色となり、花の形をしたところは金あるいは銀色となり、鹿の子模様は明るく透けるようになるのですが、この版下段階では、すべてが黒で示されます。