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February 21, 2006

展示会が終わり、昨年の企画にかかわる残務処理もすべて終了しました。そして、今年のもうひとつの企画である「版画小品集」も、第1作目の発送が済み、やっと「掛軸」に取り掛かることができます!

とてもたくさんの作業が待っています。何枚もの版木に彫っていかなくてはならないのはもとより、摺の回数も相当なものですし、摺る枚数にしても... でも、実際の制作を始めるのはまだ後のこと、まず最初に、じっくりと計画を練って準備をしなくてはなりません。

今回の掛軸は、とても大きな作品ですから、用いる版木はとても高価です。そこで、細かく画かれた部分がほとんど中央に集中していることに注目して、できるだけ小さめの版木も使うようにしました。質の良い版木はとても高価ですから、こうして少しでも小さな版木を使えばたくさんの経費が節約できます。(桜の板も無駄にならずにすみます!)でも、版木の大きさがまちまちだと、通常の「見当」を使うことができません。それで私は、「ジグ」という方式を採用して、版木を決まった位置に固定することにしました。必要な事項は、次のようになります。


スケッチをしては、それを消して書き直す、という行程を何度も繰り返した後、やっと基本プランができあがると、実際にジグを作る行程に入りました。

この写真は、卓上丸鋸を使っている様子です。これは、私が日本に来たばかりの頃に自分で作ったものですから、かなり古いものです。当時はお金がなく、子供たちに与えるおもちゃも買えなかったので、このように簡単な道具を自分で組み立てて、木のおもちゃを作りました。(これが結局は、おもちゃビジネスに繋がったのですが。)でも、17年前に版画家として独立するようになってからは、まるで使っていませんから、ほこりを払っていざ使ってみると、とてもなつかしい気持ちでした!