2006年の主となる企画は、18世紀初期に江戸で活躍した、懐月堂安度(かいげつどうあんど)の浮世絵です。肉筆の原画をもとに版画を制作、掛軸として表装いたします。
懐月堂安度
絹地に着彩する肉筆画の作者として広く知られていますが、木版画用に画いた作品は残されていません。(まだ多色摺りの版画がない時代でした)また、彼の画く女性は、息を飲むほど美しい立ち姿で、とても豪華な衣装を身につけていることが多く、非常に存在感があります。一度目にしたら忘れられないほど、強い印象を与えます。
掛軸への挑戦
今回の企画に選んだ原画を初めて見たのは、ずいぶん以前のことでした。自分の技量を遥かに超えた作品であるにもかかわらず、いつか木版画として甦らせてみせる、と心に念じたことを思い出します。それ以来、この絵のことは常に頭の片隅にあって、自分でカラーコピーしたものをじっくり見つめては、細部を観察してきました。そして、「摺物アルバム」の第5集を終えたとき、実際にこの版画を制作することを考え始めたのですが、時期尚早と見送ることにしたのです。
そして、今なら技量が備わっていると言えるのでしょうか?正直なところ、確信があるとは言い切れません。でも、これ以上先に伸ばしてしまうと、時を逸する考えたのです。これは大きな作品で、かなりの体力を要します。私は現在54歳、技術的にはもっと熟練するでしょうが、もっと体力が増すとは思いません。そんな意味で、この企画に挑戦する絶好の時だと考えました。
私自身、1年後に自作を手にするその瞬間を、待ちきれない気分です!
この作品を制作する1年間、進行状況を頻繁に更新して、お知らせします。場所は左にある掛軸の画像からリンクします。どうか一緒に経過を楽しんでください!また、私の作品をご希望の場合は、「予約について」をクリックして頁を開くと、詳細を御覧になることができます。
デービッド