デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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浮世絵ヒーロー

今回のニュースレターの、何よりも一番重要な記事です。「浮世絵ヒーロー」という言葉は、これからしばらく登場し続けることでしょう。現時点では、この紙面で全てを説明する余地も時間もないのですが、とりあえず手短かに要点をお伝えすれば十分だと思います。次号でもっと詳しい説明をすることになるのは、間違いなしですから!

では、かいつまんでご説明を……。このニュースレターを長年購読しておられる方ならご存知でしょうが、新事業として始めた木版館で、私が現代作家の絵を作品にすることをずっと願っていました。実際、5〜6年前に外国の友人が画いた絵を2作と、昨年に若い日本の女性の絵を千社札にして2セットを制作しています。あいにくどの作品も、制作費用を取り戻すには至っていませんが、そんなことはどうでもいいことです。私は仕事を生み出し、日本伝統木版画の制作方式は、ほんの少しでも未来に向かって前進したのですから。

そしてこの2ヶ月程は、もう1つ別の企画に深く関わっています。この場合は、デザイナーからの強い要請が事の始まりでした。彼はジェッド・ヘンリーという若手のイラストレーターで、彼が強く興味を持つ2つの世界を組み合わせて、版画シリーズを創作する、という思いつきです。現代のビデオゲームに登場する ― 世界中の人達に知られ、愛されている — 人気キャラクターを、日本の伝統浮世絵手法でパロディー化するというのです。このようなイラストレーションは「見立て絵」として知られているもので、日本では古くから用いられている手法です。

私が初めてこの要請を受けたとき、彼が作ろうとしている版画は大判サイズで、かなり大きかったので、自分の手に負えないと思いました。それで、別の工房を紹介したのです。でもその後、何度か意見のやり取りをしているうちに、私の工房にいる摺師見習い達と協力すれば、いくつかの作品は作れるだろうと判断したのです。そこで、とりあえず1作品を版木に彫り、何種類か試し摺りをしました。それを知人達に見せると、かなり良い反応が帰ってきたのです。ジェッドがこのことを、新企画を考えた人がそれを支持する「サポーター」を募るインターネットサイトに書き込むと、事は雪だるま式に運んでいきました。今この記事を書いている現在も支持者が増える一方なので、多すぎる予約に対応するため、ジェッドと私はものすごい数の版画を作ることになるでしょう。

ここにご紹介しているのは、最初に作った版画です。8月の終わりまでは、ジェッドの企画ページからしか注文できませんが、軌道に乗った後は、私達が作ってゆく作品を紹介するホームページをジェッドが立ち上げることになるでしょう。

浮世絵ヒーローは、「木版館のヒーロー」とも言える後援者です!

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