デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

ここに、バックナンバーがすべて集めてありますので、号数あるいはテーマ別分類から、選んでお読みください。

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「日本の美術」

この新シリーズは最初の3作が完成して、収集家の方々に送られています。この企画に共通の様式についてはもうお分かりになったことでしょう。つまり、共通の様式などない、ということです!あちこち失踪しながら、1つの場所に留まる事なく、世紀を股にかけて旅をします。

このシリーズには浮世絵がないのか、と心配している方がいらっしゃるかも知れません。まだ入っていませんが、どうかご心配なく。私たちは、浮世絵の時代にも当然行きますし、終わるまでには何回か登場することでしょう。私の作品を長期に収集しておられる方はお分かりでしょうが、伝統木版画はとても幅の広い世界です。浮世絵といえば誰でも、遊女や役者の絵ばかりを思い浮かべることでしょうが、実際は違います。多くの方々にこの間違いを知らせること、これは私の使命だと思っています。実際、このような企画を考えた動機の1つが、人々の意識の中にある「伝統木版画=浮世絵」という方程式を消し去る一助となりたいと言う思いなのです。浮世絵というのは、この「技法」で作り出される絵の中の1様式に過ぎません。

この記事を書いている今、4枚目の作品は決まっていません。候補となる作品のリストは限りなくあって、たくさんの候補の中から選べばいいのですが。以下に、このシリーズに関することを書き連ねてみます。

作品をご覧になってお分かりのように、どの版画にも品の良い筆使いで題が書かれています。前回の「美の謎」シリーズ同様、長年の収集家であり私の大切な友人でもある田内陽子さんが、書いてくださっています。私は、「明日彫りたいので……」などという駆け込みのお願いばかりしていますが、田内さんは文句も言わずに、必ず何種類かの書をしたため、中から選べるようにしてくれます。田内さんには、心から感謝です。

前回のニュースレターで書きましたが、収納用の桐箱は私の工房で手作りしています。前回の「美の謎」の時は木工細工を専門にする工房に注文したのですが、今回は自分で取り組みました。当然ながら品質は前回に及ばず、複雑な気持からは逃れられません。経験の浅いアマチュアの木版画を見るといつも気付くのですが、1枚毎に違いがあって、いかにも「自家製」です。私に言わせれば、200枚の版画を摺ったら、どれもまったく同じであるべき。今回作った木箱も幾分「自家製」に見えるので、私の「素人」度合いは歴然ですね。

でも、いつだって自家製料理の方が美味しいですよね?

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