デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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節電

曇りと雨の日にはお休み。晴れれば実行。これ、なんでしょう?

答えは、太陽電池を組み込んだ扇風機(LEDライト付き)とランプと懐中電灯(ラジオ付)を、屋根の上まで運ぶ事。本音を言えば、ドカンと太陽光発電装置を設置したいところだが、いかんせん初期投資が掛かり過ぎるので、ままごと遊びもどきの「新兵器」を購入することにしたのだ。

実は、これらはすべて緊急事態を考慮して購入したのだが、普段使っていないといざという時に「どこに仕舞ってある?」ということになりかねない。それで、日常用としても使うことにしたのだ。夜になると、再び階段を登り「3兵器」を取り込む。扇風機は外気を中に入れるために窓際に置き、照明は階段や廊下に置いて点灯する。これで節約する電力量など微々たるものだが、毎日のこうした行為が、便利な生活に慣れきっている私の意識に大きな影響を及ぼすようになった。

現代の生活はとにかく便利。指一本をちょいと使えば、照明はおろか洗濯もできてしまう。それが、今までパチパチと押していたスイッチを押す前に、ほんとうに必要か考えるようになったのだ。改めて考えれば、夜なのに家中を必要以上に明るくしていた。これは体のためにも不自然なことではないだろうか。3月に起きた原発事故以来、日本中が節電を余儀なくされている。一般家庭向けには、電球をLEDライトに切り替え、テレビの明度を落とし……、と様々な節電案が紹介されている。

原子力推進派には異議のあるところだろうが、便利と引き換えに命の危険を提供するのはご免被る。自分の命ならまだしも、小さな子供たちの未来を脅かし、便利さの付けを未来に残すことは許されない行為だと思うから。その結果、限りなくゼロに近い努力とは知りつつ、何かをせずにいられないのだ。

こうした細々とした努力をしているある日、用があって新宿に出掛けると、パチンコ店の前を通る度に入り口から猛烈な冷気が吹き出していた。冷気と一緒に猛烈な音響も吹き出てくる。なんたる矛盾!腹が立つ。でも「それが実情」。自分には、世の中の大きな流れを変える力はないのだから、怒ったところで何になろう。その代わり、たとえ自己満足を得るだけの行為かもしれないが、コツコツとできる事をしようと。

世の中、「心ない人」もいれば「心ある人」もいる。私に人を変えることはできないが、後者に属するよう生きることだと肝に念じることはできる。敵は己の中にあり!

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