私の活動に関するマスコミからの取材は、ここ数年ほとんど同じ状態で、今年もたいして変化がありませんでした。記事などの抜粋をご紹介します。
[ジャパンタイムス] 2008年6月
日本で発行されている英字新聞の中で、筆頭となるこの新聞社は、もう20年間私の記事を書き続けてきています。いつになったら「もう十分!」と言うのかと思うのですが、また取材に来たのです!
抜粋:ブル氏は、カナダのトロントで楽器店の常務取締役をしていた1980年頃、近くで開催されていた展示会で木版画に出会いました。その「立体的」に作られている美しさに魅了され(版木に彫られた線によって、摺られた紙の表面に凹凸ができる)、自分で実験的に作ってみたとのこと。
「僕は伝統を保存しているのではない」とデービッドは言う。続けて曰く「人為的に保存しようとするなど意味がなく、逆効果ですらあり時間の無駄でもある。」
[日経BPネット] 2008年9月
近年、新聞などの多くがインターネット上でも出版をするようになり、私はそこに登場することになりました。日経新聞は、膨大なサイトを運営していますが、私はその中に2部に分けて特集されました。
抜粋:「私は、楮で作った和紙、鉋(カンナ)で削った版木、美しく摺り上げる技術、それらが結集した美しい作品を作りたい。版画の善し悪しを絵柄の美しさだけで評価する人もいるかもしれないけれど、私にとっては絵の内容や図柄の美しさのウェイトは数%。もちろん、絵自体に面白さや美しさも大切ですが、版画はただの"絵"ではないのです。」
[和型] 2008年9月
私は取材依頼の電話を受けると、どんな面白いインタビューになるかとても期待して説明を聞きます。今回は、日常の中に日本文化を生かすことに専念した雑誌でした。みなさんご存知のように、私がそれに反対する理由はまるでないのですが、出来上がった雑誌をめくっていると奇妙な感じでした。私がブルージーンズで登場した次のページには、新デザインの着物を着た若い男性が写っていたのですから!
抜粋:木版画は今、アートの世界のマンションの中の1部屋で眠っているが、私の力で......木版画の部屋を再び開け、美しさに気付いてもらいたいんです。『入っておいでよ!見て!ここにはこんなに美しいものがあるんだよ!!』って。木版画を生きているジャンルにしたいんです。......大切なのは、"Just keep using it" 使い続けることなのです。
NHKの[視点・論点]
私の仕事が恩恵を受けてきているもうひとつの報道機関は、NHKです。幸いなことに、NHKはたくさんのチャンネルを持っているので、何度も繰り返し私を扱ってくれています。
数か月前、よく知られているこの番組の担当者から、「和の継承」というテーマで10分間話をしないかという出演依頼がありました。
準備は決して楽ではありませんでした。この題材に関して思い浮かぶことはたくさんありましたが、NHKのきっちりした方針に合わせて流れるような内容展開にするのは、なかなかの難題でした。でも貞子さんの助けを借りてまあまあのできに終わったと思っています。
抜粋:「退屈な仕事でしょうか? とんでもありません! 版木に彫ってたくさんの枚数を摺るという行程全体は、ほぼ2か月かかります。でもその2か月もの間、私は作品を見続けることができるのです。200枚もの美しい木版画をです。
「使っている和紙は越前奉書、世界中で作られる最高品質の部類に属し、数百年も持ちます。200枚の1枚1枚が何百年間も楽しめる、まだ生まれていない何世代も先の人たちにまで楽しんでいただけるのです! 心穏やかに2か月間働くだけで、こんなに報われるのです! 私の仕事は、日本一だと思っています!」
実際の記事や番組は Woodblock Shimbun で全文を見ることができます。
マスコミ関連の報告の後は、毎年の春号でお伝えしている財務関連の記事です。
昨年の収支報告で、かなりたくさんの方たちが私の経済状況を心配してくださいました。実際、版画はかなり売れていたのですが、決算をすると手元に残る金額は少なかったのです。
そういった不釣り合いを修正するためには、2つの方法がありました。ひとつは、もっと版画を売ることですが、これはなかなかの難題です。実際、2008年の売り上げは前年とほぼ同じでした。そしてもうひとつの手段は、出費を切り詰めることで、これはある程度実行可能でした。今年展示会を開かなかったのは、それが理由です。展示会は大きな出費ですし、他にもできる限り経営面での切り詰めを行って、今回は多少なりとも利益を上げることができました。
ところが、これは束の間の喜び、税理士からの電話で、課税対象となる所得金額が1ランク上になったために、税率が上がってしまったとのことでした。次年度いっぱい、より高い所得税と住民税と健康保険が付いて回ります。あちらを立てればこちらが立たず、いつだって、こちらを立てればあちらが立たず......。
でも不満はなし。何といっても1年間どうにかやって来られたのですから。いいえ、生き延びられただけではなく、かなり前進していると僕は思うのです。現在の「自然の中に心を遊ばせて」という企画でオリジナル版画を作り始めた時には、どんな版画を創っていけるのか、暗中模索の旅立ちでした。それがどうでしょう、結果を見てください!
誰がこの結果を予期したでしょう......。本人には、まったく予想不能でした!
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