デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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スタジオ便り

冬が近づくにつれ、地下にあるスタジオの改装工事を再開しなくてはと、気持ちが急きます。次の工事段階に入る前に、作業台の下に溜まった3年分の木屑も片付けなくては。ここで仕事をするようになってから、もうそんなに長い時が過ぎたとは、信じ難い気持ちです。

まずは、仕事台のあるアルコーブ(弧のようにせり出した出窓のような室内空間)を完成させなくては。木屑を片付けたら、一段高くなっている床の前面にパネルを作り、3つの調光スイッチを取り付けました。後に窓と窓の間に取り付ける予定の、スライド式スポットライトの明るさを調節できるようにするためです。

この作業空間を作る時、すでに配線を済ませておいたので、接続をすれば良いだけになっていました。幸い、どの線を繋ぎ合わせれば良いのか覚えていたので、...

次の写真は、床板を元に戻した状態です。座って仕事をしながら手を後に伸ばせば、好みの明るさに光を調節できます。彫や摺など、作業の種類によって3つの光源を別々に調整する必要があるのです。

これは、アルコーブに彫台を戻した夜の眺めです。夜は、窓の外の眺めに気を取られないため、仕事がはかどります。それにしても、未完成な壁が見苦しい!仕上げに向けてひとがんばりしなくっちゃ...残るは、窓枠と漆喰!

このアルコーブは、形状が複雑になっているため、個々の部分をきっちり合わせるのは、工事の最初からとても大変でした。とくに窓枠などは、かなり精密な計測が必要でしたが、すべてがとても良い具合に収まりました。

次の段階の漆喰は、運良く買わずに手に入れる事が出来ました。貞子さんの自宅で、最近の工事に使った残りが、ほぼ一袋残っていたからです。(彼女は、主だった部分は大工さんに頼んだのですが、内装の漆喰と床材の貼り合わせは自分でやったのです。DIYは、どうやら蔓延しているようです!)漆喰は藁を混ぜるのかと思っていたのですが、日本ではその代わりに海藻を混ぜるらしく、これには驚きました。

ここまでで、今年の工事は終わりになるでしょう。次の作業は天井で、ちょっとまとまった時間が必要になりますから、今年残りの数ヶ月内にそれをひねり出すのは難しそうです。掛軸の制作に集中しなくてはなりませんから!

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