デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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自家発熱

私は冬になると「タケノコさん」になる。毎朝、寝床の中で目をさますと、手を伸ばしてカーテンを開き、ガラス越しにその日の天気と気温を確かめ、体調を加味して身に付ける下着の状態をきめる。ランニング、半袖シャツ、七部袖シャツ、腹巻き、.... 笑ってはいけない。これは厳粛な一日の始まりで、健康を維持するため慎重に行う儀式、とも言える時間なのだから。

近頃は、薄くて暖かい様々な上等物が出回っているが、私はやはり木綿が好きである。取り扱いに面倒がなく、一日身につけたらぽいと洗濯機に放り込んでガラガラと洗えるところが最高なのだ。御陰で、だんだん冬の日常着はダボダボ衣装になってきたが、「おばさん」だもの仕方ない。用足しをする度にちょっと面倒で、目をつぶって「我が輩はタケノコである」と笑い飛ばすことにしている。

だが時折、ふと昔のことを思い出す。新陳代謝が盛んで、体内からいくらでも熱が発散していた、ぴちぴちの頃である。もちろん薄着であった。父が、厚着をすると弱虫になるからと、冬でも下着を重ねるようなことさせなかった。学生の頃も、制服の下はスリップ1枚で平気であった。それが、なんたる体たらく... 

ところが先日、目から鱗の画像を見てしまった。たまたまデービッドと一緒にこたつに入っている時に見つけたショートビデオなのだが、南米のピッチピッチのお姉ちゃんたちがサンバを踊っている。胸もお尻もプリリンプリリン...。そこで私は閃いた。こんなに場所のいらない運動はなかなかあるものじゃない!その夜、ひっそりと真似をしてみると、やっぱり暑くなる、すぐに暑くなる。だから、寒くなったら、これがいい。最高の燃焼運動である。問題は、側に人がいるときにできない点だが。

その夜遅く、いつものようにインターネットを使っての無料通話の折、このことを自慢げに話してみた。「デービッドはいくら寒くなってもサンバを踊れないだろ〜!」とけしかけてみたのである。すると、すぐに答えが帰ってきた。咳払いをして自慢げに「僕はそんな努力しなくたって、ちゃんとやってるさ。1分間に何千回のバイブレーションだよ。ガタガタガタガタってね。」

参った参った!ちなみに、デービッド君は下シャツというものをお持ちでない。青梅の真冬でも、2枚の服でお過ごしになる。想像するだけで、ブルブルッ! Bull buuu-ll buuuu-ruru!

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