デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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次の企画について

この記事を書いている現在、今年のシリーズ「版画玉手箱」は、ちょうど4分の3が完成したところです。この企画はとても経過が順調です。お客様たちからの反応は良く、また私自身も、かなりきつい一年間のスケジュールを、きっちり予定通りにこなしています。予想できない出来事が起きない限り、12月の終わりには、ぴったり予定通り終了することでしょう。

それで、気持ちを来年の企画に向けてゆく時期なのです。「版画玉手箱」をもう一度?これには即答です。いつかは企画するかもしれませんが、今は絶対にダメです!このシリーズは、とても楽しく制作していますが、とにかく時間が掛かりすぎて、満足のいくまで丁寧に手をかけるということが、できない事があるからです。

ここのところが、次回の企画を選ぶ上で、大事な点になると思います。来年は、手軽に楽しめるという類いの作品ではなく、がっぷりと四つに組めるような題材にしたいのです。そのためには、ひとつひとつの作品に掛けられる時間がたっぷりと取れるような計画を立てなくてはなりません。

ところが、ここで生じるのが難問です。より複雑で時間のかかる作品を作れば価格が上がる、という結論が避けられないからです。先日、収集家のひとりと、Eメールでこのことについて話し合いました。すると彼は、はっきりこう言ったのです。「手頃な価格帯から離れすぎちゃいけないよ。」

彼に、心配しなくても平気だよ、と言いたくなります。私は、作品の価格を、次のような必須事項を計算して決めるという基本方針をとっていますから。それは、和紙や版木などの材料に支払う費用と、私が雨露をしのんで生きてゆくために必要な金額です。小さな作品(版画玉手箱のように)を作れば枚数が増えて、一枚あたりの価格は安くなりますが、もっと複雑な版画(四季の美人のように)を作れば枚数は少なくなり、一枚あたりの価格は高くなります。ですから、1年を通して考えれば、同じことになるのです。

来年の企画を考える上で、決定が難しいのは、どこまで基準をずらして良いのか(シリーズの枚数を何枚にするか)、そしてもちろん、どのような題材にするか、ということです。でも、ひとつだけはっきり決めているのは、次を「挑戦」の年にしたいということです。それは、版画を迅速に作る能力への挑戦ではなく、特別な作品を生み出す能力への挑戦です!

収集家(このニュースレターの読者も)のみなさん、私の考えについて、何か意見や助言などがありましたら、どうか聞かせてください。でも急いでくださいね、決定の期限は迫っていますから!

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