「摺物アルバム」を5年間続けてきた今、ちょっと休憩して別の事をする時期にいると思います。今までのアルバムで思う所を全て尽くした、などという意味ではありませんから、来年は再びこのシリーズに戻るでしょうが、それまでちょっと間隔を置いても困る人はいないでしょう、収集家の側にも、制作者である私の側にもです!
目新しさだけを求めているのではありません。収集家の方達はお分かりと思いますが、作品制作の遅れは重なるばかりで、予定表など名ばかりになっています。「1年に10作品」というペースを続けられなくなっているのです。こうしてこの記事を書いている2004年の初めですら、2003年度のアルバムは完成していません。きっと、もうひと月はかかる事でしょう。
そんな訳で、2004年の終わりには全作品を終えて、その翌年は通常の軌道に戻れるように、枚数の少ない集を考えたのです。私の恒例展示会は、数年先まで予約してありますから、毎年1月に開催するリズムを崩すなどという事は、まるで考えていません。今年の企画を1集4枚とすれば、2005年1月までにきっと完成させることができるはずです。
新企画のテーマを決めるのは、比較的簡単でした。収集家の方達から、「美人画をもっと」という声が多かった事もありますが、希望が多いので決めたというのではなく、私自身も興味があったからです。新企画について様々に思いを巡らしているうちに、この題が一番上の方に浮かび上がってきたのです。
ひとたび全体の構想(題と予定)が決まると、次には用いる4枚の絵を選ばなくてはなりません。選択の幅は膨大ですが、脈絡もなく選ぶのではなく、いくつかの条件を満たすようにしました。
- 四季毎にふさわしい作品である事
- 4枚が調和してひとつのまとまりとなる事
- 制作面で、私が挑戦しなくてはならない要素のある事
- 手に終えない程難しい作品ではない事
- 収集家になる方達に魅力的である事
- 経済と時間の面で、制作が可能である事
- 時代の流れを年代順に追っている事
こんなに条件を付けてしまうと、作品を見付けるのは容易ではありません。でもやっと、全ての要素を満たす4枚を捜し出すことができました。最初の作品は、ここにある岳亭の絵です。彼の作品は、私の摺物アルバムには何度か加わっています。作られたのは江戸の中期ですが、平安時代の貴族の女性を画いていて、この集では春の作品となります。残りの3枚は、時代の順に進行し、
- 夏:江戸時代の作品
- 秋:明治時代の作品
- ...そして冬に来るのは ... どの時代の物か、きっと想像できますね。
「四季の美人」についての詳細は、次のようになります。
- 作品4枚(摺物アルバムよりも大きなサイズ)
- 予約価格には、収納ケースとスリップカバーも含む
- 1枚の価格は12,500円(国内は送料無料)
- 岩野市兵衛氏の越前奉書
- 彫と摺は、もちろんデービッド
5月初めには、この新企画に取りかかっているはずで、6月から順に、ほぼ2ヶ月の間隔を置いて4枚の版画を仕上げていきます。
新企画が、皆様に喜んで頂けますように!
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