デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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さよなら高野

今ではもう、ギャラリー新宿高野以外の所で開催された私の恒例展示会を覚えておられる方など、ほとんどいらっしゃらないでしょう。連続12年、高野は私にとって1月の「ふるさと」でしたが、もう続けることができなくなりました。高野がギャラリーを閉鎖する事に決めてしまったからです。

都内で最初に開催する個展のため、ギャラリー案内の本を頼りに適当な場所を模索していた頃、私が高野ギャラリーを発見できたのは、とても幸運でした。ほとんどのギャラリーは、何年も前に予約を入れなければならないというのに、当時の私は何も知らず、数カ月後に控えた展示会の場所を探していたのです。

狭すぎたり薄暗い印象だったり、ほとんどのギャラリーは条件を満たさない何かがありました。ギャラリー高野は、私が参考にしていたギャラリーガイドには掲載されていませんでしたが、たまたま他を見に行く途中に偶然入り口を見つけ、中を覗いて見たのです。

私の展示会にはピッタリ、しかも、1月の初めという私の希望する期間が空いてました。ところが、1日8時間の使用料が10万円と聞いてびっくり仰天。自宅近くで個展をした時に支払った1週間分の費用の2倍近く、これがたったの1日分でしたから。

向こう見ずか否か、自分の持ち札を全部テーブルに投げ出す覚悟で、賭けてみることにしました。展示会を開く経験などほとんどなかったのですから、なにもかも不馴れです。訪れる人もまばらで、散々な初回となりました。でも、回を重ねる毎に面白みのある展示会を工夫できるようになり、人々の関心を引き付けながらギャラリー高野での成功を継続できるようになったのです。

ギャラリー高野閉鎖の知らせを受けてすぐ、貞子と私は新たな開催場所を求めて動き始めました。大都市東京ですが、私の要求を満たす場所となると、なかなかありません。毎年継続して使うことができ、場所が分かり易く、しかも希望する1月に使用できる所。

時には挫折感を味わいながら、ついに条件を満たす場所を見い出しました。すぐに来年(その後も継続の予定)の予約をし、私達は新宿から有楽町に移動することになったのです。次回の展示会は、JR有楽町駅のすぐ前にある交通会館のゴールドサロン[B1]で開催します。

今私は、この空間を使って魅力的な展示を考えています。この建物は、日比谷と銀座の中央に位置していますから、展示会にいらっしゃる時にはついでに済ませられる用事も多く、きっとその日を有効に使えるでしょう。

順調に進行すれば、ここでのおつき合いはきっと長期になることと思いますし、正直、強くそう願っています。場所捜しを繰り返すなど、もう当分したくないですから!

来年の1月は、♪有楽町で〜会いしましょう〜♪

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