デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

ここに、バックナンバーがすべて集めてありますので、号数あるいはテーマ別分類から、選んでお読みください。

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展示会の総括

展示会の開催は15回を数えました。百人一首に10年間を費やし、そして摺物アルバムを始めてから5年です。15 x 10 = 150 、これが現時点までに作っているはずの版画の数です。でも、展示会までに最新の集の10枚は完成しませんでした。実は、今なお最後の作品に取り組んでいるところです!とはいえ、会場にいらした方達に楽しんでいただけるだけの展示は、たっぷりありました。

摺物アルバム第5集

展示会は、作品を全部並べて眺められる唯一の機会で、これは私にとっても同じです。今年作った8枚の作品をパネルに並べてみると、第5集は、何かもっと、こう... どう言えば良いのでしょうか... 今までの集よりも「壮観」なのです。ちょっと特殊技法を駆使し過ぎた感があります。金属粉の使用、浮き出し模様、たくさんの色版。こうなった理由のひとつは、私が伝統木版画を始めて25年近くも経ているのに、まるでお菓子屋さんにいる子供のような気分でいるからです。あれもこれも、みんな欲しいのです!

そんな具合なのですが、収集家の方達には楽しんで頂けていることを願っています。展示会場での反応から推量れば、大丈夫らしいのですが!

デービッドの選抜

ここは、私の展示会で定例のコーナーとなってきています。ただひとつ残念なのは、もっと早く始めなかったという事。それまで、展示会は自分の作品をお見せするのが目的と考えていましたが、自分のコレクションからのもっと古い作品も含めるようになったので、来場者にとっては、ずっと面白みが増したようです。20世紀に入ったばかりの頃にイギリス人によって、日本の技法で作られた素晴らしい木版画・今から200年以上前に作られたオリジナルの摺物・肉筆画を木版画にした明治時代の本・その他にも、優れた作品を展示しました。いらした人達の中には、私の作品よりも面白いと思われた方もあったでしょう。でもいいんです、そんな危険は重々承知です。こんなに美しい版画なのですから、皆さんにお見せしなくては!

ギャラリートーク

さて、どう報告したものでしょうか?去年と同じ難点があったのです。面白い話が山のようにあるので、どれも話したくなり、まるで自分の足に躓いて転んでしまったような具合でした。聞いている人達に分るような、筋の通った構成にするつもりではいたのですが!皆さんは、私のぎごちない話を辛抱強く聞いてくださっている様でしたが、もっと流れの良い進め方にするべきでした。1年に1度しかこのような話をする機会がないので、上達するはずがありませんよね。来年は、自分で話をする代わりに、収集家の中の何人かにお願いをして、パネル形式で話をするというのも良いかも知れません。皆さんは、デービッドに会うためだけではなく、実のある楽しい話を聞きにいらしているのですから。何か他に妙案がありましたら、いつでも連絡してください!

新シリーズ

今回の展示会で大切な項目のひとつに、近々始まる新シリーズへの反応を見る、という事がありました。それで私は、企画の内容(これについては他のページで書いています)を説明するちょっとした展示を試みました。幸いかなりの関心を引いて、会場で申し込みをする方が結構いらしたので、安心しました。現在のアルバムがまだ終わっていないにも関わらずです。

以上、全体としてみれば、今年も良い展示会であったと言えるでしょう。ここ数年、マスコミの注目度は低いままの状態ですから、初めて来場される人の数は多くありませんでした。それでも、6日間の会期中は、安定した人の流れがあったのです。いらした方達は、みなさん展示物を楽しんで御覧になっているようでしたし、1年に1度しかお目に掛れない方達とも再びお会いすることができました。そして、ちょっとの間作業台から暇を頂戴するという、おまけ付きでした!

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