デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

ここに、バックナンバーがすべて集めてありますので、号数あるいはテーマ別分類から、選んでお読みください。

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よくある質問

インターネットで色々なホームページを見ることの多い方は御存知でしょうが、たくさんのサイトに、「よくある質問」という項目が作られています。ネット上での検索をあまりしない方には、馴染みがないかもしれませんが、頻繁に尋ねられる疑問に対しての解答が書かれています。

私はインタビューを受けることが多く、その度に、似たような質問を繰り返されるので、そういった質問の答えを書く欄を作ることにしました!

問) ブルさんの国籍は?

答) 引き出しから私のパスポートをふたつ取出して、皆さんの前で開けば、もう答えるのは簡単です。ひとつにはカナダ、もうひとつにはイギリスと記されていますから。私はイギリス生まれですが、家族が後にカナダに移住したのです。どちらの国も二重国籍の保有を許可しているので、カナダ市民になってからも、イギリスの国籍を維持してきました。とは言え、ほんとうの答えは、「私にも分からなくなっている」といった方に近いでしょう。

イギリスは5才の時に出ていることから考えても、この国の文化に関する知識や感性があるとは公言はできません。長い年月の間には、どんなにかこの国は変化したことでしょう!カナダにしても、離れてから20年近くも過ぎれば、同じようなものです。こんなに長い間、外国にいる日本人を想像してみてください。その人が日本に戻ってくれば、国籍は日本人ですが、現代の文化状況にどんなにか違和感を覚えることでしょう!

ですから、「書類上」はこのふたつの国籍のどちらとみなされても構いませんが、私の心の中では、正直なところ判らないのです。それに、私としては、取立ててこだわりもないのですし...

問) 日本には長いですよね、そのうち日本人になるのですか?

答) 日本国籍を請求をすることは考えていません。それにはいくつか理由があります。まず、日本に根ざした生活をしていて、ここを離れるなどということは微塵も考えていないにもかかわらず、自分が「日本人」であるとは感じられないのです。生まれてから30年以上も西洋で暮らしていますから、物の考え方は「違い」すぎます。それに日本は、カナダやアメリカとは大きく違うところがあるのです。どちらも移民が作った国ですから、外国人という存在はないようなものですが、日本は、長い事他国と一線を画してきていますから、他所から来る人は全て外国人です。どんなパスポートを携えていようが同じです。こういった考え方は、今ある私達が生きている間に変化することはないでしょう...

次の理由は、無理からぬ事とは言え、日本国籍を取得する際には、他国籍の放棄を要求されるという事です。すぐ前で、あのように書いたにもかかわらず、この決断を強いられのは、私にとって、心穏やかでないものとなることでしょう。

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