デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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スタジオ便り

このニュースレターに、もうひとつ連載が加わることになりました!やっと自分の家が持てるようになったんです、好みに合わせて仕事場を改装できないなどと、言い訳をしていられなくなりました。前の羽村の住まいでは、改装が許されませんでしたから(そんな空間もありませんでしたが)。今はもうそんな制約はありませんし、地階はまるで、「白いキャンバス」のように空っぽ、どんなデザインも描ける状態です。

この空間をどんなふうに使っていくかについては、色々と考えがあります。ここを初めて見たその時から、最終的にどんな仕事場にするかという青写真は浮かんでいました。摺り台はここに.....、そして彫り台はあそこに...、というふうにです。実際に越してきて、この建物の様子についてもわかってくると、最初のアイデアに修正が加わり、計画も細部にわたるようになりました。そしてしだいに、どうやったら自分にとって理想的な仕事場を造れるかということに焦点をしぼれるようになってきました。

きっと長くかかることでしょう。建築の仕事をする人を雇って、なにもかもやってもらえるのならば、きっと短期間に仕上がるでしょうが、私にはお金も、また、そうしたいと思う気持ちもないのです。自分の手で造っていきたいのです。作業は当然長期に渡るでしょう。少なくても数年、おそらくもっと長くかかるでしょう。作業が進んでいくようすは、この「スタジオ便り」に更新していきます。

ところで、私は「スタジオ」という言葉を使っていますが、これはどうもしっくりきません。「せせらぎスタジオ」という日本語の響きがいいので名付けたものの、本音をいえば、芸術家でない私にはちょっとそぐわないんです。私の気持ちとしては、版画製作のための仕事場で、スタジオではないんですから。かといって「せせらぎ作業場」では、やはりおかしいし...、ということで、結局「スタジオ」を採用することになりました。こだわっているのは自分だけで、他の人たちは皆、私の仕事に相応しいと思ってくれるようですし、ま、問題はないでしょう.....。

内装が進むにつれて、段階ごとに写真を撮ってみなさんに報告するようにします。今はまだ、版画製作の遅れを取り戻している段階で、なにも手をつけていませんが、春になって暖かくなってきたら、作業開始の火ぶたを切るつもりです。それまで仕事は、地上1階にある六畳の和室になります。前の羽村の時とまるで同じ広さです!住み慣れた気分のまま.....

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