デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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カナダの園芸

カナダ、庭、とくれば、ちょっと草木に興味のある方なら、まずブッチャートガーデンを思い浮かべることでしょう。石灰を採掘した後の荒廃地を広大な庭園として蘇らせるなどという、途方もない発想からして魅力的です。石ばかりの地に、果たしてどれほどの土が運び込まれたものか、視界の開けた場所に立ち止まって見晴らしては、ガーデンデザイナーの妙に感嘆するばかりでした。アウトラインを決定する樹木では、高さ、色、生長の仕方、テクスチャーと、ひとつひとつの木の特性を実にうまく生かし、しかも全体としての調和を保っています。温帯モンスーン気候で生活している日本人として、いまひとつ興味深いのは、見なれた木や草が違う環境のもとではどのような生長を見せるかということです。(モミジ、アセビ、アオキ、ボタン...)ただ残念なことに、ここは観光地であるため、常に絶好調の花の状態を公開すべく、草花は最盛期が過ぎると根こそぎもがれて出番を待つ「お次」にとって変わられてしまいます。中高年の仲間入りをした私としては多少のひがみ心でしょうか。「なにもここまでしなくったって」と、同類を哀れむような錯覚に陥ってしまって...

もうひとつの庭は地域の園芸センター。ここは「素晴らしい」のひとことにつきます!地元の住民や学校と密に連係をとってボランティアの協力で運営されているのが特徴で、見ることよりも植物を育て学習することに重点が置かれています。日陰好き、乾燥へいちゃら、アルカリ大好き、などという風にいくつもの区画に分けて植物が植えられていますから、どれも活き活きしています。20年という歳月をかけて集められた豊富な宿根草類がどれもしっかり根を下ろし、それらがうまく配置されて重厚な美しさをかもしだしているのです。庭全体のあちこちにあるベンチに腰掛け、いつまで眺めていても飽きのこない風景です。

私達の観光は一日一箇所。ひがな一日、こんな素晴らしいところでゆったりと過せたなんて、今思い出しても夢のようです。

(詳細は私のホームページにある「バンクーバー・アイランド紀行」を御覧ください。

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