デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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軽部和樹氏ご夫妻

木版画の世界...コーヒーの世界。  この二つ本質的に異なるトピックが見つけられるでしょうか。 そうですね。 そんなことは考えていませんでしたが、それらはあなた方が考えるほど離れてはいません。 熊谷市の喫茶店『Cafe de BJ』の経営者である軽部和樹氏ご夫妻にお目にかかる機会があり、彼らがコーヒーをたてるのも木版画を作るも実際には大変似ている職業だと教えてくれました。

私は、コーヒー好きというわけではありません。そして、和樹さんは私が最初に訪ねた時、それに気がつかれたと思います。 彼が私に「タンザニアとケニヤのどっち」と聞かれた時、私はボケーッと見つめ返しました。 彼や彼のお客さんには、それは大いに違いがあるのです。 彼は生の豆から始めます。 世界中のトップのコーヒー産出地域から輸入し、それらを選出し、彼らのアパートの台所で色を注意深く見ながら、ちょうどいいパチパチ音を聴きながら、そしてもちろんちょうど良い香りをかぎながら、手で注意深く煎ります。 彼は、一回に二日分だけ作ります。 煎ってから豆を一粒ずつしらべて味に影響する標準以下のものはすてます。 煎った豆は、ビンに入れて、ふたをしめ、コーヒーの注文があったらそれを挽きます。 彼はすべてをコントロールします... 火にかける前の水の温度、ドリップ装置の材料、ひいたコーヒーにそそぐお湯の正確なやり方、カップの選択... このようにしないとより新鮮でより味わいのあるものはできません。


お客さんはそのことを知っています... 又は学んでいます。 BJは、コーヒー通(つう)の為の場所として評判を得つつあります。 軽部さん達は、がぶ飲みするお客さんには興味がありません。 すばらしくおいしいスパゲッティ(手製のおいしいソース付)ランチをメニューからはずしてしまいました。 誰もがスパゲッティーの味をほめるとこぼしました。 でも、軽部さん達は、そんなに気難しい人ではありません。 彼らは、私と同じことに興味があります... みつけられるかぎり最上の材料を集め、利用できる最上の道具を用い、最高の技術を集めて出来得るかぎり最上のものを作ります。 作った物を単に提供するだけではなく、それについて説明することです。 そうすることによって、自分自身が最高の水準にたっするだけではなく、他の人達をも引き上げます。 いいコーヒーは何か... いい木版画とは何か、教えることです。

和樹さん、久代さん、ありがとうございます。 私や子供達に示して下さった友情だけではなく、私の版画をあなたの店にかけて下さり新しいコレクターに出会うのを助けて下さったばかりでなく、私の地平線を広げ、見ることを期待しなかった所にある価値を示して下さったことに感謝します。 たとえばコーヒー豆のいり方です。 いつの日か私でさえもケニヤとタンザニアの味の違いを学ぶことができるかもしれません。

〒360
埼玉県 熊谷市
玉井 1ー68
Cafe de BJ
0485(32)9575

('BJ'と言うのは、バンジョーで、もしあなた方がブルーグラスミュージックをやっていたら、和樹さんに彼の古いバンジョーについて聞いてみて下さい...)

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