デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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鎌田 ファミリー

カナダに住んでいた時、私は日本についてたくさんの本を読み、この国についてたくさん『知っている』と思っていました。あれやこれや少しづつ情報を得て、日本人について学びました。例えば典型的な父親像としては、会社につくして、朝早く電車に乗り、一週間に 8日も遅く家に帰り、家族は二の次にし、仕事の為に生きる...皆んな知ってることですね。日本にきて住むようになってからこのことがそんなにひどくないということがわかりました。最近、他の面も知ることになりました。私はもっとよく知る為に、私の版画を集めて下さっている鎌田さんご一家を訪ねました。

座って鎌田業継さんと話している間中、娘の朱美ちゃんが宝物を次々に見せにきます。そのうちだんだん、鏡に向かって話しているような気がしてきます。彼は、田舎に住んで、家を建て、無意味に仕事と家族生活が離れているのではなく、生産的な仕事が家族の生活にまぜあっているような生活がしたいと話されます。私は、前にそんなことを日本人から聞いたことがありません。新聞にはいろいろ書いてありますが日本人もカナダ人も、人生において同じような目標をもっています。そんなにもよく似ていることに私は少しおどろきました。

鎌田さんと好美さんは一緒に小さな塾を経営しています。もちろん生徒の多くは単に次の試験の準備をしているのですが、彼は、単に来週の試験にパスする為に勉強するのではなく、生涯教育や、個人的に何かを成しとげる為の学校を作りたいと夢みています。鎌田さん御夫妻は、合気道をやっています。私は格闘技はやったことがありませんが、そのうしろにある哲学 ...外界の騒音をたちきって、注意を集中し将来忙しく働くことに堪える為の深い力をもたらす...と説明してくださいましたが、それはたぶん、私が摺り師の松崎さんの摺りを見せてもらって、そこに何を見い出すかについての違った説明の仕方のようです。

私は、この若い御家族を知る機会を得たのをうれしく思います。いつの日か山間のとなりどうしの村に住み、一週間に一度自転車で習字を習いにいくかもしれません。鎌田さん、ほんの数年後のことですよ。がんばりましょうね...

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