デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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Rebecca Marckさん

ほとんどの日本人の方々は、大量の有名な過去の浮世絵版画が、外国の美術館や収集家のもとにあるということをご存じです。 欧米の収集家は、いちはやくそれらの版画の芸術的価値を認めました。 その当時、日本人はそれらの価値を見いだしてはいませんでした。 そうであるら、私の版画のお客さんの約1/3が、日本人以外であるとしても不思議ではないわけです。

1990年 1月末、英字新聞ジャパンタイムズに載ったちょっとした記事により、外国人の方々にも私の仕事をわかっていただける機会がありました。 いろいろ問い合わせの電話がかかったうちの一人が Rebecca Marck からで、当時、彼女は、長野県の高校の英語の教師でした。 彼女はすぐに熱心な収集家の一人になってくださいました。 最近、週末を利用して東京に来られ、青梅市での私の版画の展示会に来てくださった時に彼女について少しばかり知る機会を得ました。

Becky は目下、長野県の信州大学で、語学の教師をしています。 彼女と話しているうちに、彼女が日本にいることの主な関心は、相互理解を深めることにあるという確かな印象を受けました。 彼女は、生徒が英語がよりうまくなる事だけではなくて、世界中のいろいろろいろな所に住んだ彼女の経験を分かち合い、他の文化や、土地について学びたいという熱望を育てたいと望んでいます。 彼女は、明らかにそのような哲学で生きています‥‥言葉さえも彼女自身のものからは違っている国に住み、ここで出来る経験を、出来るだけ多く取り込みたいと思っています。 他のどんな理由で、単に展示会に来るために数百Km を旅し、インド料理店で食事をするために、もう 2時間ばかり電車に乗り、ウインターフェスティバルに参加するために、又数百Km 旅をし、そして翌朝のクラスの準備をするために、急ぎ足で家に戻るのでしょうか(生徒の為におもしろい話をもち帰っていることは疑いのないことです)。

この百人一首シリーズへの参加は、彼女にとっては何かしらより大きな意味をもちます。 彼女は、これらの遠い昔の歌人から、彼らの歌を勉強する今日の若者までの連続性について語りました。 歌とその文化的背景は、保存され、何百年も何百年も繰り返し解釈されてきました。 彼女はその伝統の活動部分であり、その鎖が切れないで、この重要な文化的遺産が、時としてそのようなものには関心のない新しい世代によって、脇によけられないように確かめる助けとなりたいと思っています。

彼女は、展示会に来られたとき長野県からお土産をもってきて下さいました。 それはみずみずしい信州りんごで、展示会に来てくださった方々と分かち合い、彼女が発った後にもその香りは残りました。 経験を分かち合った思い出は、彼女の日本の生徒や友人の中に残り、彼女が生まれるのを助けてくれている版画は、次の世代への遺産として残るでしょう。 Beckyさん、私の仕事に対しての援助、及び勇気づけの言葉に深く感謝致します。

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