デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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山下巌さん

私の版画を集めて下さっているある方々は、一年のセット10枚で満足だと言われます。 又、他の方々は、 100枚のシリーズを集めるのに熱心なばかりでなく、私が作り終わるのを持ちかねています。 私達の隣町青梅市の山下巌さんは、そのうちの一人です。 彼は本棚の空っぽの大きなスペースを見て、いつになったらいっぱいになるのだろうと思っておられます。

日本美術界では、版画はつねに絵画の後に位置し、私のお客さんの中にも日本画の収集家がたくさんいらっしゃるでしょう。 山下さんも、松下紀久雄、川合玉堂、田渕俊夫 といった有名な人の絵を壁にかざっているといった収集家の一人です。 時々、私が山下さんご夫妻を訪ねると、最も新しく手に入れられた作品を見せて下さり、私は、彼らのプライベートなホームギャラリーを楽しみます。 私の版画が、彼らのコレクションに加える価値があると認めて下さるのをとてもうれしく思います。 そして、私の版画がそのような有名な絵にまじっているのは心があたたまります。

山下さんは、単に私の版画のお客様ではなく、版画をあなた方の所へ届ける一役をもになってくださっています。彼は、輸送用コンテナーを作っている会社の社長さんで、毎月私があなた方の所へ送る包装用材料は彼の所から購入します。 通常、少量必要とする客とはとりひきをされませんが、山下さんのスタッフの方々は、ご親切にも私の為にダンボールを用意してくださいます。

私達一家は、一年以上も援助してくださっていることにたいして山下さんご夫妻に感謝します。 彼らは又、より形に現れない方法で助けてくださっています。 彫り台にすわっている時、出来あがった作品を検討されている鋭い眼をした山下さんのような収集家の存在を意識しています。 そのようなお客さんでは、いかなる不注意な仕事もできないし、私ができうる限り高い水準に保たなければなりません。 私達皆は、彼の眼から利益をうけます。

山下さんご夫妻に対して今までのご援助感謝します。  100枚になるまで一緒に行きましょう。

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