デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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版下準備

この仕事でもう一つよく聞かれることは、私の版画と原画との類似です。私の版画はまったく同じでしょうか。実際どのようにするのでしょうか。

私は原本を持っておりません。初刊の本(私が複製しているもの)は、ほとんどありません。私が見つけたのは、たった二冊で、一冊はロンドンの大英博物館にあり、もう一冊は、東京の東洋文庫にあります。後で出された本(絵は同じですが、歌は春章のすばらしい書ではありません)はもっと出まわっており、東京や、ロンドンの、めずらしい本の店で、時として買うことができます。東洋文庫の援助により、私は、その本の各ページの写真をとらせていただきました。そしてその写真フィルムから東京の写真技術社に拡大写真をたのみます。私の版画の大きさが、上下 366ミリになるように拡大します。これは原本の1.68倍の大きさです。

次のステップは、この写真を版木にうつすのに適した、大変薄い紙にコピーすることです。 大変薄い、デリケートな和紙を普通のコピー用紙に貼りつけます。 この紙を用いて、非常に性能のよいコピー機で、大きな写真のコピーをとります。 それから和紙(写真がコピーされている)をコピー用紙からはがし、版木に、面を下にして注意深く貼りつけます。 この過程により、江戸時代の版画が、私の版木に反対に貼りつけられ、彫るばかりとなります。


江戸時代の彫り師が、コピー機を使わないで、いかに彫ったかと不思議に思ってられる方は、その当時の彫り師は、複製をしていたのではないということを思いおこして下さい。春章は、非常に薄くて、強い和紙に原画を描き、それが元の芸術作品でありますが、これを版木に貼りつけました。それはまさに薄い紙で、最も上手な彫り師だけが、版木に貼りつけることが出来ました。もし彼らがその仕事をやり損なうと(私は数回やり損ないました)その芸術家は、始めからデサインをやり直さなければなりません。

だから墨のアウトラインと書は原画に非常に近いです。色については、又話が別で、次に話したいと思います。

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