デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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嘆くべき?

先日、新聞に「男性エステ市場好調」という記事が出ていて、目を疑った。日々不況の傾向が深まる中、営業成績を伸ばしている企業があることは知っている。インターネット販売がその一つで、ガソリン価格高騰のために人々が家にいる時間が長くなった影響だそうだ。そのため、スーパーに行く感覚でネット上の店で買い物をする人が増え、市場は拡大傾向とか。だが、男性エステ?パックしたつるつるの顔に、脱毛してつるつるの腕?

ちょっと待てよ。ちょっと前まで、毛深さが男らしさのシンボルのひとつとされたのではなかったか。ジェームスボンドだって毛むくじゃらだったし、ハリウッドの男性俳優がわざと胸毛をチラリと見せたりして、男臭さを誇っていたじゃないか。男性のひげが濃ければ、剃り後の青いあごを見てゾクッとした女性もいたことだろう。

そこで、知人の若い女性に聞いてみた。すると、至極当然な顔で「あら、そうよ」という。眉毛をそろえるなど常識で、腕の毛などはマメに剃るのがあたりまえ、営業担当の男性従業員などは、会社からそうするように指示されるとのこと。ふむ。

私個人は、女でありながらエステサロンなどという贅沢な場所には行ったことがないし、時折思い出したようにボサボサの眉毛をそろえるくらいの無精者だから、そもそも判断の基準がない。そこで周囲の男性を観察することにした。類は友を呼ぶからだろうか、どうみても周囲につるつる男性はいない。そこであまり見ないテレビをよく見ると、みんなつるつるである。日本の政治家たちもニュースキャスターも、みんなつるつる。

おやまあ。私は何事にせよあっさり好みで、つるつるに越したことはないが、こうも極端になってくると動揺する。甥などは、「男は見た目で勝負」とまで豪語して、顔の手入れを怠らないらしい。はて?

きっと身だしなみの基準が変化してきているのだろう。だから、それに付いていけない中年男性が揶揄されたりするのだろう。世の男性諸君が身ぎれいにしてくれて悪いはずがない。ただ、若い人たちには、外面と平行して人間としての内面も充実しておくれと、チクリチクチクはしたいものだ。

あ〜ら、デービッド、抜けたヒゲが版画の上に落ちたわよ〜!

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