デービッド・ブルが発行している季刊誌「百人一緒」に掲載された記事です。

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マヨネーズ

近頃は皆無に近くなってしまったが、数十年前までは電車の中で隣に座った方(たいていは中年以降の御婦人)からそれとなく声を掛けられ、軽い会話をすることがあった。気候の話や電車の乗り換えなどさりげない問い掛けがきっかけとなり、思いがけず楽しい数分を過ごせる。見ず知らずの人といかに上手に言葉を交わすかは、様々な感を働かせなくてはならず、ちょっとした緊張感もあって面白い。また、第三者となってそんな会話を聞く場合などは、そんな二人のお手並み拝見といった風で、聞くのも結構楽しいものだった。

先日、暮れも押し詰まったスーパーの長い列に加わっていると、後の女性とその後の男性が会話を始めた。振り返るのも失礼なので、する事のない私は軽い籠を片手にぼんやり二人の会話を聞く事になった。

女性:「お宅も買ったんですねえ、目玉商品のマヨネーズ」

男性:「店員さんがないって言ったのに、隣の通路にまだあったんですよ」

 (私:ああ、あの段ボール箱か〜。私はマヨネーズ好きじゃない!)

女性:「安いと買っちゃいますよね。家にまだあるんですよ〜!」

男性:「今は金利も低いから、こうして稼がなくっちゃねえ。塵も積もればで、ばかになりませんよねえ。」

 (私:先日テレビで、いらないものは一切買わない、予備は一切置かない人のことやってたっけ。片付けに掛かる時間が激減したとか...)

女性:「今日の割引券持ってきました?」

男性:「ええ、もちろんですよ」

 (私:私は机の上に忘れてきた、家の鍵を閉めてから思い出したからそのまま車に乗った。)

女性:「家は主人が何もしないから...」

男性:「僕は台所仕事も掃除もしますよ」

女性:「あーら、奥様が羨ましい〜!」

 (私:勝手にしやがれ!あたしゃ一人暮らしだ!)

公共の場での会話は、こうして意地の悪いおばさんが聞き耳を立てていたりするから要注意!いや待てよ、後にいた女性は相当感が良いのかもしれない。だって私に話し掛けなかったもの。

ところで、近頃はどのスーパーでもポイントカードなるものをくれ、買物をする度にそれが加算されて数ヶ月に1度くらい千円程度のただ券をくれる。これは私でも大事に利用しているのだが、デービッドはこれを一切使わない。 ポイントなどという客寄せ根性が嫌だとか。

世の中、色んな人がいるもんだなあ。

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